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glasnsciです。Aramis氏が、サイトロンジャパン天体写真コンテスト2023において、サイトロンジャパン賞を受賞しました。受賞対象となった写真は、IC 5146(まゆ星雲)です。同賞は、星や天体をテーマとした写真にたいして審査員三名の審議の上で贈賞されます。
コンテストについて
昨年開催した「サイトロンジャパン天体写真コンテスト2022」では多くの皆様から約200の力作をご応募頂きました。ありがとうございました。 2023年も「サイトロンジャパン天体写真コンテスト」を開催いたします。今回より応募部門を「天体写真の部」と「星空風景写真の部」の2つに分け、皆様からの作品を幅広く募集いたします。応募要項をお読みいただき、奮ってご応募ください。
サイトロンジャパン天体写真コンテスト2023 https://www.sightron.co.jp/photocon.html
撮影対象について
まゆ星雲は、はくちょう座に位置する散光星雲で、東側に長く伸びた暗黒帯を伴っています。その様子がまるで穴(暗黒帯)を進んだ先にある昆虫の繭に見えることから「まゆ星雲」と呼ばれているのだとか。
氏の作品ではCometBPフィルターを用いていて、まゆ星雲のHa輝線がより高いコントラストで映し出されており、また、まゆ星雲の外と中の暗黒帯の複雑な構造が細かく描写されています。まゆ星雲の外側に淡く広がるHa領域と、暗黒帯の周辺をさらに淡くセルリアンブルーに照らす領域が色彩的なコントラストをもたらしています。サイトロン社社長の渡邉氏の講評にもあります通り、フィルターの効果を的確に利用した、力作です。
Aramis氏コメント
Aramis氏からは以下のようにコメントをもらっております。
2023年8月のペルセウス座流星群を見に行った傍らで撮影していたものです。
撮影地である朝霧高原の南天は富士宮市街からの光で明るいのですが、北天はそこそこ暗いので狙ってみた次第です。4時間弱の露光時間で作品にできるものかと思いましたが、どうにか形にすることができました。
まゆ星雲自体はそれなりに明るいので簡単に写せるのですが、これに加えていくつか考慮すべき要素があります。
・まゆ星雲から右方向に流れる分子雲と暗黒星雲
・まゆ星雲から上下方向に流れる非常に淡いHα領域
・周辺にびっしりと広がる大量の微光星微光星を消しすぎると不自然になるし、かといってはっきりさせすぎると分子雲やHα領域が見えなくなるしで落としどころを見つけるのに苦労しました。特に短い露光時間の中で微かに写っているHαを描出するかどうかというのも悩みどころで、無理にあぶりださずに消してしまうという判断もあったかと思います。今回は納得いくところを見つけることができたためこの形となりました。まさか入選するとは思っていませんでしたが。
今まで雑誌投稿や天体写真コンテストなどで何かの賞をいただいたことがなかったのですが、今回初めて入選することができました。私の天体写真もある一定のレベルに達したのかなと思います。いや、これはSharpstar Z4とComet BPフィルタというサイトロンジャパン扱いの製品に阿った結果かもしれない・・・。引き続き精進いたします。
おわりに
本作品は、「月刊天文ガイド」(誠文堂新光社刊2023年11月5日発売号)に掲載されています。
また、カメラと映像のワールドプレミアショー「CP+2024」のサイトロンジャパンブースにて展示予定です。みなさまぜひ会場でおあいしましょう